だって探偵が突き詰めていったら、最終的に死神から授かったそこに名前を書くだけで人が死ぬという「DEATH NOTE」の存在が明らかにならなくてはいけないのだから。あくまで現代科学に基づいて理論を構築していく探偵にとってはそんなノートの存在なんて、自分の存在価値を否定するもの以外の何者でもないのですよ。推理小説で「犯人は超能力で人を殺せる能力を持っていたのです!」なんていうトリックだったら読者激怒は必至だし、そもそも「推理小説」という世界観、枠組自体を壊してしまうわけですよね。
つまり「DEATH NOTE」はほぼ相反する世界観を持つ二つの枠組(理論無用のオカルト=DEATH NOTE と理論構築必須の推理小説=探偵)が徐々に接近しながら物語が進んでいくスリリングさがすごく面白いわけで(もちろんどちらか一つの枠組だけ取ってもそれぞれ面白いけども)、現在はすごくうまくいっている二つの枠組の摺り合わせが、いざお互いのコアがぶつからなくてはいけない最終的な時点に来た時どういう反応を見せるのだろうか?っていう部分がすごく楽しみなわけです。
そういえば物語中、一度だけ探偵は「死神」の存在について真面目に考慮対象に入れたのだけど、その時は見事に彼は思考が停止してフリーズしてしまい、椅子に座ったままの姿勢で椅子から転げ落ちてしまいましたよね。あれはまさに一つの枠組・世界観が危機をむかえている瞬間だったのです。そしてとりあえずの対策としてフリーズして全ての世界を停止して、二つの枠組が周到な準備もないまま接近しすぎてしまい、どちらも崩壊してしまうのを防いだわけです。
最終的な二つの枠組の最接近(と融合)がいつになるかはわからないけど、下手したら二つの枠組がそれぞれの世界観をぶちこわして、推理小説に超能力者が登場した時のような白々しさが残るだけだからね。ここまですごくうまく話が進んできたたのだし、ぜひ見事な着地を見たいと思っています。
前記のガッシュだって、今まで鉄の絆で力を合わせて戦ってきた仲間が、そういう決まりだからって簡単に仲間同士で戦い始めちゃったらやっぱりそれまでの「友達・仲間のの強さ、大切さ」で紡いできた物語世界観が壊れてしまうのですよ。そこにどんな展開をどれだけの説得力を持って矛盾を解決するか、にかかってますよね。
自己の世界を壊しかねない矛盾した結末に向かわざるを得ない(と今のところ思える)両漫画にとって、その矛盾の解決という命題は世界が壊れるや否やのカタストロフの瀬戸際なのです。
DEATH NOTE (1)